『ウォーリー』は素晴らしい映画である。荒廃した地球、また機械によって 管理された人間の姿に、70年代のデストピアSF映画を感じさせる映画 『ウォーリー』は優れたCG映画である。常にチャレンジする会社ピクサーは、 『レミーのおいしいレストラン』では人物・室内の表現に拘ったが、今回は 『カーズ』以上に、「広大な風景を細かく映画的に描写する」事(地球や宇宙 の風景)と、ピクサーの原点でもある作品『ルクソーJr』からのテーマ、「機械 を動かす事で擬人化して見せる」事に徹底して拘った作品でもある。 (ピクサー作品のオープニングでお馴染み、『ルクソーJr』はここで見れます) ↓ http://www.pixar.com/jp/short/ljr/index.html 『ウォーリー』は残念ながら、詰めの甘い映画でもある。デストピア物にしては ラストはやや甘いし、機械の擬人化に拘るなら冒頭のサイレント映画風の 表現にトコトン拘るべきであったと思う。ウォーリーとイブの「セリフ」(会話? な音声)も無しで、最後まで動きだけで機械達を感情表現していれば・・・ 拘りが徹底出来たと思う。・・・が、そんな映画はディズニーが許さんだろう。 ・・・以上のような高尚な(?)お話は他の方々にお任せするとして(笑)、脱線 を旨とする私は、映画『ウォーリー』について主人公、“ウォーリー”を軸に幾つ か紹介したいと思います。ウォーリーを見て何を思い出しましたか?? クレイブン監督の『デットリー・フレンド』を思い出した筈だ!! 誰だよ、パッタもんの『キルボット』(笑)って言う人は! 冗談はさておき、“ウォーリー”の姿に(ある年齢から上の)誰もが『ショート・ サーキット』の“ジョニー5”を思い浮かべた筈である。が、実際見比べると 意外に似ていない。確かに顔と足回りは“ウォーリー”似だが、ボディは随分 細身だし、何と言っても手が・・・“ジョニー5”はしっかり指があったんだ。 *『ショート・サーキット』より、80年代を代表する女優(でいいでしょ?) アリー・シーディと踊る“ジョニー5”。実は『ウォーリー』にはデザイン より、このダンスシーンの方が影響を与えていたりして。 “ジョニー5”は落雷の為か、『ポリス・アカデミー』のお調子者であるスティーブ・ グッテンバークが作った報いか、“ウォーリー”より良く喋ってウザい。 続いて『デットリー・フレンド』のロボット、“B・B”。名前は“ジョニー5”程有名 では無い。頭部が丸いので然程似ていないだろう・・・と思いきや、共通点が 色々と発見できる。手やボディは“B・B”の方が“ウォーリー”に近い。 *『デットリー・フレンド』より、これまた80年代の女優クリスティ・スワンソン と“B・B”。この映画は「バスケのボールで婆ちゃんの頭爆発」と、「冗談 のようなラスト」がトラウマ級に有名。 ・・・“B・B”って、アメリカの「キテレツ」が作った「コロ助」ナリ(笑)。 “ウォーリー”のデザインに影響を与えたのは、この二本の映画、二体のロボット ですが、私にはそれ以上に影響を与えている映画、その映画に登場したロボット する三体のロボットは“ドローン”と呼ばれ、その愛称はそれぞれ「ヒューイ」 「デューイ」と「ルーイ」と名付けられています。 1972年の傑作SF映画『サイレント・ランニング』は、SFXの巨匠ダグラス・トラン ブルが私財を投げ打って完成させた作品。お話は2001年(!)、植物は地球上 から全滅していた。巨大な宇宙船のドームで少数の人間が、僅かに残された 植物を守っていた。が地球から宇宙船に、植物ドームを爆破して帰還する様に 命令が下された・・・と、70年代SFらしい暗~いお話。 その命令に反発した主人公(ブルース・ダーン)は、事故を装い同僚を殺害、 一人宇宙で植物を守る事を決意する。が、一人で世話をするのは大変。そこで 船外作業用の3台のロボット=“ドローン”に植物の世話をさせる事にする。 3台のロボットの内、既に1台は事故で失われていた。残る2台に主人公は 「ヒューイ」「デューイ」と名付け、失われた1台には「ルーイ」と名付けるつもり だった、と語る。もはや主人公にとって“ドローン”は、共に植物を守る道具では 無く、孤独を慰める仲間でもあったのである。なおこの名前はドナルド・ダック の甥っ子のアヒルの三つ子からとられています。 “ドローン”は頭部も無く喋りもせず、いかにも工作機械然としたデザインで、 『スター・ウォーズ』のR2-D2以上に無表情。しかしこれが物語が進むにつれ 表情を持ってきて、凄く感情移入出来る存在になってくるのである。機械を 愛でる文化の持つ日本人には、実にツボに来る存在。 苦難を乗り越え彼らの生活は続くかに思われたが、やがて事故で「デューイ」 が破損し、ついに地球からの救助船が接近して来るのであった。救助船が 到着すれば真実が明らかになる。それ以上に重大な事は、最後に残された 植物も処分されてしまう事である・・・ *『サイレント・ランニング』本編より最後のパート。残された植物を守る為、 ブルース・ダーンはある決断をする・・・(涙)。ラストはもろに『天空の城 ラピュタ』の名場面の元ネタ、また主題曲も泣けます。SFとしてはツッコミ 処もありますが、そのテーマ性と先駆的SFX映画としては未だ賞賛に値 する完成度の作品。 ラストシーンを見ただけでも“ドローン”が、最後には人間的な存在になっている 事がお判り頂けると思います。実はこの“ドローン”、小人俳優さんが中に入って 演じています(R2-D2と一緒)。“ウォーリー”のキャラクター、そして作品その物 の雰囲気に一番影響を与えているのが『サイレント・ランニング』であり“ドローン” と言えるでしょう・・・や、よく見ればボディの前面のデザイン、かなり“ウォーリー” に影響を与えているではないか! 何より“ドローン”の「ヒューイ」「デューイ」「ルーイ」が、ディズニー(ピクサー)の 新しい映画『ウォーリー』に影響を与えていると考えると、何とも因縁めいた愉快 さを感じるのは私だけでしょうか? とまあ、以上のように『ウォーリー』から脱線してまいりました・・・。が、ウチの 嫁から訳のわからん脱線ネタが提供されました。少女マンガ家坂田靖子の、 キャラだぞ、と。いやそれは何でもこじつけだろ・・・が、坂田靖子の作品には だからって『ウォーリー』に関係ある訳では無い更なる脱線でした(笑)。という 事で通用する方々には(誰にだよ・・・)ネタとしてご利用下さい。 |