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カルト映画・B級映画…『歪な』面白映画紹介
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今に見ておれでございますよ、『丑三つの村』

津山三十人殺し事件」といえば多くの著作、そして映画、更に

ゲームにアニメに都市伝説に?と影響を与えた事件。それを

西村望が書いた本を元に直球勝負で映画化したのが本作品。

何故かビデオ化された後はDVDも出ず、スクリーンで見れる

この機会は楽しみにしました。残念ながらプリントはかなり劣化

していましたが大満足しております。

 

さて見ての印象ですが…正直「今となっては」物足りない感が。

まあ見る前の期待が高すぎたのでしょうが。まず「津山事件」の

背景をかなり簡略化している感があります。この後この事件に

ついて、更に詳しい著作が出ているので厳しい評価にならざるを

得ないのですが、映画の原作と比較しても尺に収める為か、

作り手の主観なのか、設定を明解化、簡略化した感あり。

 

また当時評判になった…はずのスプラッター(なんせブーム全盛

期の作品)が随分大人しい。これでは映倫に成人指定をもらった

価値がないぞ。実際には大場久美子の頭が吹っ飛ぶシーン

あったがカットされたそうで、色々と「大人の事情」で遠慮して

しまったのか?これでは役者にして特殊効果マンの「日本の

トム・サビーニ」こと、トビー門口も無念極まり無いでしょう。そもそも

三十人殺していない…。見世物としての外連味なら「八つ墓村」の

例のシーンの方が断然上。

 

実際の事件だけに(まだ関係者がご存命でもあったし)、あえて

触れなかった部分、触れたくても簡略化して表現した部分がかなり

あった様に思われます。ハリウッドが実話を扱う時、毒気を薄めて

映画化するパターンを思い出しました。別に実話だから忠実にしろ、

要求している訳ではありません。ドキュメント調でなく、劇映画に

するなら思い切って、作り手の視点・解釈を更に前面に出した方が

良かったのでは、と思ったりしているだけです…あと折角リスクに

挑戦するなら、トコトン挑戦した方が…と。

 

と書きましたがこの映画にホレた部分、またオススメのポイントは

その作り手の拘りが前面に出ている部分。そう、主演の古尾谷雅人

につきる!主人公が殺しの準備をする場面が『タクシードライバー』

そのもの、この映画は実録犯罪ものというより、破滅型ニューシネマ

の一本と見るべきなんでしょう。殺しのシーンを流血を今ひとつ、と

下記ましたがそれを補って余りある古尾谷雅人の演技、SFXでなく

役者の力で見せる大虐殺シーン、と拍手させて頂きます。

 

ところで古尾谷雅人は松田優作直系の素晴らしい役者さんでしたが、

先年自殺されました。身辺や金銭の問題があった、との事ですが、

バラエティー全盛の時代にも役者である事を追及した人物だけに、

自殺の原因の一つに、映画の製作環境の変化に対する絶望があった

のでは、とつい邪推しちゃいます。こういう「のめり込み型」「役者馬鹿」

タイプの役者さんには住み難い映画作りの環境になっているんだなぁ、

と。映画のラストのセリフ、

 

「みなさま、さようならでございますよ」

が今となっては切ない…

 

やはりこの傑作は、DVDを出しましょうよ!一説には田中美佐子が

この映画のヌードシーンを嫌がってる為(一時期ヌードに大変ナイーブに

なられた事あり)、という説がありますが、この映画のそれは美しいです。

また大プロデューサー(!)、奥山和由の仕事としても出さなイカンでしょ!

 

そんなこんなの環境で…プリント、痛んでたのかなぁ(涙)

 

史実度 ★
流血度 ★★
青春映画度 ★★★
古尾谷雅人度 ★★★★★

 

1983年 松竹映像・富士映画

 

監督 田中登 脚本 西岡琢也 原作 西村望 撮影 丸山恵司 

特殊効果 トビー門口 製作 奥山和由

 

出演 古尾谷雅人 池波志乃 夏八木勲 原泉 

五月みどり 田中美佐子 大場久美子


2008年9月17日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞(併映 『生首情痴事件』)    
 

           

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