原作が野坂昭如、脚本が藤本義一と聞くと素晴らしくトンデモない 映画(ホメ言葉)を期待しましたが、想像以上のトンデモなさでした! 主人公・勝新太郎の名はガンめん。故人のお顔の複製を作るその 方法がユニークな(というか無茶な)デスマスク屋。この勝新は軽妙 洒脱な話術で見せる役柄です!彼は葬送を金儲けとしか考えない 葬儀屋の醜い争い(遠藤辰男と財津一郎。キビシーッ!って叫ぶ シーンも有り)に呆れ、整形外科崩れの医者、先生(伊藤雄之助)と 阿部野区役所(笑)の戸籍係、ジャッカン(藤村有弘)と、仏さまに 恥ずかしくない葬送を行うべく、新会社を起こし葬送ビジネス界に 乗り込む。社名も国際葬儀協会、略して「国葬」!電話番号は 307-4942、「みんな よくしに」、覚えておくように! と、お話に役名からお分かりの通りパワフルかつナンセンスに 映画は進みます。真面目だか馬鹿げてるんだかの勝新が仕切る お葬式、中ノ島公園(よくロケできたなぁ)での一大水子供養イベント、 テレビによる葬式中継&愉快なCMと、ハチャメチャな活躍で 「国葬」は業界で躍進してゆく。 しかしいつのまにやら初心を忘れ、自分たちが葬送をビジネス化、 あげくにレジャー産業化している姿に疑問を感じた勝新は、単身生きる 者が死と向き合う場として、万博に対抗して葬式博覧会、略して 「葬博」の実施を思いつく。「葬博」の準備にいそしむ勝新に突然… 最後はすんご~い事になります。 こりゃ関西風な、野坂・藤本コンビのドぎついお話を勝新が軽快に見せ、 また脇に数々の関西芸人がいるのも見所。また先生こと伊藤雄之助の イッちゃってる雰囲気もまた愉快。悪ふざけなエピソードが多いですが、 戦争中の話や堕胎、死やら何やらを取り繕う俗世の様など、シニカルで 毒のある視点も散りばめられており、ラストのカタストロフィに繋がります。 ただ私は半ばまでの軽いノリの方が好きですが。 時代劇、特に「子連れ狼」でタランティーノをメロメロにした三隅研次が、 こんな意欲的な現代劇を取っていた事にはビックリです。また冒頭に 出てくる造成中の万博会場(ここに霊柩車で乗り込む)など、当時の 大阪の風景を楽しむにも貴重な作品です。 お笑い度 ★★★ 罰当たり度 ★★★★ 勝新度 ★★★★★ 1968年 大映 監督 三隅研次 脚本 藤本義一 原作 野坂昭如 撮影 宮川一夫 l 出演 勝新太郎 伊藤雄之助 藤村有弘 2008年9月10日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞
(併映 『草迷宮』『スキャンティドール 脱ぎたての香り』) |