なんせこのタイトル、クリ○リスを喉に移植する話である(笑)。 山本晋也監督がご本家『ディープスロート』に出演した男優、 ハリー・リームスと組んだ『生贄の女たち』はチ○コ移植の話で、 当然お笑いである。ならば『東京ディープスロート夫人』も…と 思いきや、これがチト違ったのであった。(話は脱線するが、 『生贄の女たち』でチンコを移植する先生、桑山正一の役名は 井筒教授である。これは当時山本監督の助監督にもついた 井筒和幸監督からとったのか?) 大金持ちのボンボン、南条竜也(「変身忍者嵐」にして「鉄人 タイガーセブン」)と結婚した田口久美。が義父の室田日出男に 横恋慕され、この極悪親父が妄執の果てに、金と権力に飽かし、 息子の嫁である田口久美の喉に… というお話が、これが何故か格調高く(!?)描かれているので ある(笑)。爆笑狙いの演出ではなく、一々重々しく見せるので、 失笑感がすべてを支配している映画になっております。正統派の コメディリリーフは大泉滉のシーンのみ。特に移植手術を行う 渡辺文雄のあまりのクソ真面目演技はかえって爆笑必至。 これは田口久美の存在感による処が大きいのでしょう。数々の 珍なるエロレコード(!)を残している事でも有名な方ですが、 生まれが日米ハーフというプロフィールが語る、彫りの深い顔が 売りの女優さん。 田口久美はあの、『エマニエル夫人』のヒットを受けて作られた 『東京エマニエル夫人』『東京エマニエル夫人 個人教授』 に出演、その役柄のイメージで臨んだのが本作。で、ハイソな お屋敷(使用人付き、お庭に例の白い椅子有り)を舞台に、 「ファッショナブルポルノ(女性向きソフトコアポルノ)」なテイストで 作った訳か。だとしたら企画段階で無茶多し(笑)! ともかく強引にナニを迫る室田日出男のチ○コを噛み切ろうとして 「…かすり傷です」(場内爆笑)、手術後は食事中に悶絶するわ、 とくればおやつはバナナだよ、など絵図はお上品に見せても 笑い所はもり沢山ある。そうそうこの映画には構造的な欠陥が。 テーマが「デープスロート」だけに田口久美はあそこに顔を埋める (描写はソフトコア)。結果画面には悶絶する室田日出男の顔が 大写しに(個人的にはコレが一番ウケた)。 最後は田口久美のお口を責めている処を、銃をもった南条竜也に 目撃された室田日出男。息子に向かって「後ろが空いてるだろ!」 (場内爆笑)、室田日出男と変身忍者嵐に責められるってどうよ、 と感慨を抱く間も無く、ありがちな展開の結果、田口久美は…。 監督はポルノ映画の巨匠、向井寛。失笑感溢れるトンデモ映画と 評する事も出来るが、狙って(山本晋也のような)ナンセンスコメディ でなく、格調高い雰囲気と行われている行為のズレを楽しむ、 計算して失笑感を大事に演出したのでは、と思えます。製作サイドが どの様な注文をつけたかで、向井寛がどのような意図でこの映画を 演出したかを判断したい作品です。 ちなみにこの頃の東映は珍作の宝庫、楽しい時代ですが、現実には 当時映画興行の衰退がポルノ製作を生み、結果経営側と労組側に 激しい軋轢があった頃。その為、この作品含め東映は社外の監督を 招いて映画製作するような事態に。当時の製作状況は本当に厳しい 時代であったという背景も知っておけば、別の視点で当時の作品を 見る事が出来ます。 また同時にこの状況が東映と向井寛が共に仕事をする関係を生み、 その後の東映セントラルフィルムの誕生、そこでポルノ映画出身監督が 一般映画デビューの場を提供、それが現在多くのポルノ出身で活躍する 監督を生み出す先駆けとなった、といえます。赤塚不二夫・山本晋也、 タモリが出演の『下落合焼き鳥ムービー』も、東映セントラルフィルムと 向井寛の手による製作です。(なおこの作品含め、製作・企画で参加の 際は向井寛城、の本名でクレジットされる事も)。 最後に「ディープスロート」って何なのかは、皆さん当然ご存知でしょうが 正しい意味は映画を見て勉強するように。なに、『大統領の陰謀』を見ろ、 なんて野暮は言いません。私はDVDスルーの『キルスティン・ダンストの 大統領に気をつけろ!』をおススメします。この作品、原題が『DICK』って l いうのも冴えてます(笑)。 爆笑度 ★★ 失笑度 ★★★★ 室田日出男恍惚度 ★★★★★ 1975年 東映 監督 向井寛 脚本 鴨居達比古・小平祐 音楽 津島利章 出演 田口久美 千葉哲也 室田日出男 渡辺文雄 南城竜也 2008年9月11日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞(併映 『吸血髑髏船』)
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