さて、今年(2008年)の第21回東京国際映画祭において、 素晴らしい作品が上映されるのである!その映画とは無論、 『極底探検船ポーラボーラ』である!! …ここで一般映画ファンのブッ倒れと、このHPに来る様な方 の激しい同意を期待したい処なんですが(笑)。私にとっては 子供の頃見損ねて以来、何とかして劇場で見たかった作品 であった。雑誌や怪獣関係の書籍で紹介された極底探検船 ポーラボーラ号のカッコ良かった事よ!『スター・ウォーズ』 公開後のSF映画ブームに沸いていた当時の話である。うん、 これは傑作に違いない、とガキの私にはインプットされた。 そしてこの作品を私が見たのは、はるか後の2004年10月 23日(土)夜の、今は無き名館・浅草東宝の小谷承靖監督 特集ANにおいてであった。ここ浅草東宝では毎週末、東宝 作品の特集ANを実施していたが、恥ずかしながらあまり行く 事が無かった。が『~ポーラボーラ』なら是非見ねばならん! と劇場に向かった。 と劇場にはゲストとして小谷監督と、米からわざわざ来た 本作のプロデューサー、アーサー・ランキン・Jrが来て、舞台 でトークショーを実施してくれたのである!ええっ、浅草東宝 の為に(失礼…)訪日?正直歴史はあるが、かなり年季の 入った劇場(場内の席は…大分破損していた)のANである。 こんな処に来てもらってイイの?しかも15分予定のトークは 暴走、二人で1時間近くも熱く、興味深い話を語ってくれたの である。なんで?? さて、ここで話を映画に戻そう。期待して見た映画は…(笑) 子供の頃美化し過ぎていたらしい。主役メカたるポーラボーラ、 あんまし活躍しない。地底を進むドリルマシンだが、『海底 軍艦』や『惑星大戦争』の轟天号に比べてエライ地味。しかも これが「キラキラ光る(笑)」為にエライ展開となる。 またもう一方の主役が、原題『THE LAST DINOSAUR』に 通じるティラノサウルス。これがお手々ペナペナ(笑)。なにも 『ジュラシック・パーク』を見たから言うんじゃない、東宝と、 ランキン=バス プロダクション(アーサー・ランキン・Jrの 製作会社)が組んだ作品、『キングコングの逆襲』のゴロサウ ルスと比較しても情けない。こりゃ『恐竜・怪鳥の伝説』の 首折れ竜、じゃなかった首長竜の仲間と見るべきか?(この ティラノ、円谷プロの『恐竜大戦アイゼンボーグ』で使い回す) 実はこの作品、米ではTVMで放送時には視聴率41%(!)も とった作品。しかしTVM…、予算的にはキツかったのかなぁ。 それでもこの成功のおかげで、翌年ランキン=バスプロと、 小谷監督が組んだTVM作品『バミューダの謎 魔の三角水域 に棲む巨大モンスター!』の製作につながったのである。なお 本作は日本でもTV放送され、年配の方の脳ミソの片隅には 残っているはず(私もだが)。 さて、物語は石油開発会社のワンマン社長が、自社の石油 開発で発見した北極の地下で発見した空間に、太古の世界 があり、そこに恐竜が生き残っている事を知る。 実はこの社長、恐ろしい狩猟マニアで世界中の猛獣という 猛獣を狩り付くし、「地球史上最強の猛獣、ティラノサウルス」 を狩る事を夢想していた(現在なら動物愛護団体に叩かれる 設定だなぁ)。でこの話に喜び勇んで、一行引きつれこの世界 に乗り込む。その中には中村哲の姿も(この人は合作映画に よく参加される。中には『双頭の殺人鬼』という珍作が)。 しかし地底世界に到着するや、銃にポーラボーラ号まで失った 一行。それでもティラノを狩ろうと社長、そこらの材料で投石器を 作り、一撃にかけた対決に備える。また恐竜だけでなく何故か いたのが原始人(笑)。さてティラノとの対決の行方は… さて何だかんだあって、一行の生き残りは文明社会に帰還 する事が出来るのだが、ティラノとの対決の鬼と化した社長は この世界に残る事を決意する、原始女・関谷ますみ(笑)と 共に(笑)。あのティラノだけでなく、そんな社長の生き様もまた、 原題の『THE LAST DINOSAUR』そのものであった。う~ん カッコいい!このお話をナンシー・ウィルソンの「ポーラーボーラ 愛のテーマ」(浅草東宝のロビーでも流れていた!)にのせて お送りするのであった。 以上のようなお話だが、当時の視聴率・話題性と比較すると、 今なっては技術的にもテーマ的にも評価し辛い作品。こりゃ ヒドい、BOMBな作品と思われても当然。 しかしその背景に当時の世相があり、またこの作品の背景に、 現在まで続く国境を越えたスタッフの交流があったと思えば、 また見方も変わるのではないでしょうか? なお本作は東宝の小谷監督が共同監督で参加しているが、
ランキン=バスプロと円谷プロの共同制作、日本での映画 配給は東宝東和となっている。浅草東宝の上映の際プリント は特別に川喜多財団から出してもらった、と聞いていますが、 今回の東京国際映画祭での上映は…HPでは「英語」と なっているが、これは日本公開版と違うのか?アメリカ版? ともかく私は個人的に、アーサー・ランキン・Jrという人物を 知る体験を得まして、その後興味を持って調べた事があり ますので、また別の形で紹介させて頂きます。浅草東宝への 来館、特撮映画マニアの間でもあまり話題にならなかったと 思う…本当に急な事だったのか?だとしたらこの方、日本の スタッフにどんな思いがあったのか? なお『極底探検船ポーラボーラ』は、今回の東京国際映画祭 では、natural TIFF、『映画を通じて「自然と人間の共存」を 考える作品の特集』と謳われている。がこの内容、合ってない んじゃないの(笑)!『ゴジラ対ヘドラ』は趣旨に相応しいが… l と、ツッコんではいけないのである。多分この番組を組んだ方 が素晴らしい趣味の持ち主で、かけたい映画を強引にねじこん だ結果と称えるべき行為なのである!!…多分。 特撮度 ★ ティラノペナペナ度 ★ 70年代度 ★★★★ ランキン=バスプロ度 ★★★★★ 1977年 円谷プロ・ランキン=バスプロ合作 (配給 東宝東和) 監督 アレックス・グラスホフ 小谷承靖 特撮 佐川和夫 製作 アーサー・ランキン・Jr 円谷昇 製作総指揮 円谷皐 出演 リチャード・ブーン(イチオシ!) ジョーン・ヴァン・アーク 中村哲 関谷ますみ |