さて、幸か不幸か人類は滅亡せず1970年代を迎えました。ベトナム戦争 は末期、東側陣営の結束は怪しいがソ連はまだまだ強そう。戦争以外 にも公害やら石油ショック(1973年)やら、もう地球はお先真っ暗に見えて も生まれています。 そんな世紀末以上に世紀末だった1973年、1945年8月に「弓型の中で 金銀も溶けるような光がきらめく」体験をした極東の島国に、一人のルポ ライターが現れた。彼が記した書物が『ノストラダムスの大予言』、その 内容を広く世に知らしむべく、東宝が「文部省推薦」(オイ!)のお墨付き の下、良く1974年に放った大作映画があった。それこそが未だ封印され てる映画、『ノストラダムスの大予言』なのである! この作品は色々と呪われた作品である事は有名です。撮影中には スタジオで火災が発生・全焼する事故があり、公開後はアレのシーン、 「すべてのものは、毛と皮が剥け、狂って争い、怪物が地球をおおう ことになる~」・・・を映像化したシーンや、ニューギニアの実にモンド 映画なシーンが、団体さんからのクレームでカット・・・。 なお74年8月の公開で、12月にクレーム箇所のカットを行った模様で、 カット後も上映されています。このカット版=チャンピオンまつり版、という 認識で良いのでしょうか?80年にはTV放送もあったものの、ビデオ (LD含む)化される機会はなく、そこに98年の「グリフォン事件」なるドラマ CD(音のみ!)販売騒動を経て、ますます封印状態に現在置かれている 作品となっています。 という訳で現在もDVD化されていない作品ではありますが、今の時代 海外のDVDやオークションで手に入るDVDなどで、見る手段は存在 する模様。但し私はそれらにウトいので所持していませんが。それらには 様々なバージョン(「①クレーム後のカット版」「②TV放送版」「③海外 LD版(①よりカットがあり、シネスコ画面はスタンダードになっている)」 「④グリフォン流失(?)版(ドラマCDの原版と言われ、ノーカット?)」等 様々なものがある模様。映画館主義者の私は興味無し(負け惜しみ・・・) この作品について、映画興行の仕事をしている時に話題となった事が ありました。その際に「80年代頭位(?)に文芸座(??)で上映したのが、 関東での最後の上映らしい」という話が出てきました。そしてマニアの 間での話、「その後関西で『ノストラ~』最後の上映があったらしい」との 説の真偽が話題になったのです。 そう、劇場での最後の上映は、特撮マニアの間で伝説の伊丹グリーン 劇場のオールナイト特集上映、「大特撮」での上映が最後の上映と見て 間違いないようです。その上映、私は見ておりました!! 私が見たのは「①クレーム後のカット版」で間違い無いようです。今現在 この記事をその時の記憶で書いています(頼りねぇ~!)。あと参考資料 として、1983年東宝出版事業部刊行の「東宝特撮映画全史」。この書籍 には『ノストラ~』の紹介が詳細に記されています(但し「アレ」については 微妙にスルー。でもニューギニアの件はしっかり書いてある)。 長々と前説を書きました。映画の内容については・・・(笑) 70年代にはモンドな映画が流行っていましたが、その見世物的なノリと もう一方で東宝映画らしい真面目さが融合した、丹波哲郎節炸裂の 愉快な70年代調の大作映画、としか言いようがありません。 原作本に作家の半村良や学者さんの考証、時事ネタを加えたシーン、 公害や食品添加物問題、SST(今は無きコンコルドみたいな旅客機) 爆発でのオゾン層破壊(紫外線で地上は地獄絵図)、スーパーに押し 寄せる群衆等・・・核戦争やカットされたシーンよりも、こういった時代を 感じさせるシーンの方が強烈です。 でも実は、更に時代を感じさせる演出の方が凶悪・・・絶望してアングラ な姿(笑)で自殺する若者、唐突に跳ねて踊りだす由美かおる(笑×2)。 これらを含め時代を感じさせる絵巻物に仕上がっていました。正直こっち の方が「~恐怖の大王~」じゃ! なお映画では炭酸ガスが増える事で「~大気と、大地は、冷えて行く~」 ので、予言が外れたと決め付けるには早い・・・?また夢の島に現れた 巨大ナメクジを、自衛隊が火炎放射器で焼くシーンがありますが、これは 数少ない自衛隊の実戦(?)、「成田空港建設の際、ミミズが大量発生 したので自衛隊が火炎放射器で焼いた(『スクワーム対自衛隊』)」件 が元ネタなのでしょうか?実に壮絶な実戦だ・・・(笑×3) モンドでもあり啓蒙でもあるシーンが連発される映画ですが、これら時代 を感じさせる雰囲気の方が、今見て新鮮だと思います。またこの版では カットされたシーンも、私には「不適切ではあっても露悪的ではない」と 思われ、様々な形で過去な作品に触れられる現在、封印が解かれるに 値すると感じております。あ、私は別にこの「①クレーム後のカット版」、 これでの公開でも充分良いと思いますよ。それ以外のシーンにも見所が 大いにありますから。 「~1999年、7月~」も無事に過ぎ、多くの予言が外れた今・・・でも別の 形で実現・・・紫外線で地獄絵図にはならないものの、日差しに注意は 当たり前。食料危機も別の形で実現(格差があって飢える姿と、皆が 等しく飢える『ソイレント・グリーン』の姿・・・どっちがデストピア?)。今の 世に『ノストラダムスの大予言』を見れば、感じるものは沢山ありますよ。 とりあえず70年代は90年代より、現在より終末だった事を実感させて くれる事だけは間違いないでしょう。再上映希望! 「~美しい処女の輝き、それはもう輝くことはない~」これは当りか(笑)。 丹波哲郎節が有名な作品ですが、これら予言の詩を朗読の岸田今日子 も味のある作品です。 歴史的価値度 ★★★★★ クレームな描写度 ★★ 丹波哲郎度 ★★★★ 70年代的末法思想度 ★★★★★ 五島勉信頼度 ・・・無し 1974年 東宝 監督 舛田利雄 原作 五島勉 製作 田中友幸 田中収 特技監督 中野昭慶 出演 丹波哲郎 黒沢年男 由美かおる 山村聡l |