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カルト映画・B級映画…『歪な』面白映画紹介
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ダメ男映画、ここに極まれり!「競輪上人行状記」

日活ロマンポルノで活躍した西村昭五郎の監督デビュー作。いや、

この作品が不入りだったもんで、再度助監督降格という痛恨の作品。 

しかし熱心な邦画ファンには高く評価されている傑作。例えばムック本

時代の映画秘宝、「悪趣味邦画劇場」の松井修氏の紹介記事が秀逸

で、一読をおススメめさせて頂きます。

 

そんな作品が今は無きシネマアートン下北沢で上映された日には、

もうすっ飛んで見に行きましたよ!その価値は十二分にありました。

 

ストーリーの紹介はさらりと流しましょう。実家の寺を継いだ兄(坊主)

の死で、寺を次ぐべく呼び戻された主人公(小沢昭一)。しかしこの寺

不景気なオンボロ寺、それでも後家の兄嫁(南田洋子)がいるなら悪く

ないか、と教師を辞め寺に戻ります。

 

そしてしっかり兄嫁と関係を持つのですが、この寺不景気で犬の葬式

でなんとかやっていける状態。ところがあこがれの兄嫁は、生活の為

近所の犬を殺して回っていた女だった…。

 

貞淑に見えた兄嫁は、兄との関係は屈折しており父親とも肉体関係

あり。兄嫁の子の父は…。しかもボロ寺、何とか本堂建て直しの金が

必要となるが一向に金の目処も立たず、とうとう主人公は競輪に狂う。

競輪場で出会う人物も、また主人公の教師時代の教え子の少女も、

登場人物は皆ドロドロとした背景を持つ者ばかり…。

 

この物語だけでお腹いっぱいになってしまうが、脚本はなるほど納得の

今村昌平。ともかく皆ドロドロとした、しかし逞しい登場人物に圧倒され

てしまいます。物語はそんな彷徨の果てに、「悟り」を開いた主人公が

競輪場で説法(いや、単なる予想屋の口上なんですが)で皆を圧倒する

という、実に壮絶なオチを迎えます。このラストだけでも見る価値あり。

 

しかしこの映画を今村昌平や西村昭五郎で括らず、現在の視点で見ても

面白いのである。主人公は教師時代も、寺に帰ってからも「行動しない

理想家」。ごもっともな意見を語るのだが現実に対して無力。それだけに

周囲の人間の醜い行状に圧倒され、それから逃れるべくギャンブルに

のめり込む。競輪に行く人は減ったでしょうが、こんなタイプの人近所に

いません??と、まず我が身こそが要注意と自戒しよう…。

 

そんなどこか現代にも通じる弱さを持った主人公が、堕ちる処まで堕ち

た果てに、ようやく自分自身や醜悪に見えた周囲の人間も受け入れる

までに成長…いやこれは成長と呼べるのか?ともかく悟りの域に達する

姿は感動的ですらあります。悩めるアナタに必見、の映画。

 

なお原作は直木賞作家であり「なまぐさ坊主作家」でもあった寺内大吉。

競輪やキックボクシング(いましたね、沢村忠!)の解説でも有名ですが、

同時に浄土宗宗務総長まで務めた名僧でもあります。浄土宗だけに

この映画の如く生臭の果てに見えるものがあった方なのでしょう。この方    

の著作には「化城の昭和史」という代表作もありますが、歪な映画ファン

には『セックス・チェック 第二の性』の原作者として偉大(笑)。

 

小沢昭一度 ★★★★★

宗教生臭度 ★★★★

ラスト説法(?)度 ★★★★★

 

 

1963年 日活

 

監督 西村昭五郎 脚色 今村昌平 大西信行

音楽 黛敏郎 原作 寺内大吉

出演 小沢昭一 南田洋子 加藤嘉 

 

            l

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