昔…80年~90年過ぎ位まで?はまだそれなりに名画座もあり、 私のような凡俗ですら寺山修司とか何とかなアートな作品を、 作者が意図した見世物小屋感覚=映画館で見せる場所が まだまだあったと思います。現在も単館系各劇場は頑張って おられ、新作が発表する場所は失われていないが、それが 公開後何度も劇場にかかる機会はかつてと比べると減りました。 アートな体験も見世物小屋から私的空間へ、DVDやビデオで 経験する時代になっているのだなぁ。嗚呼見世物小屋としての 映画館よ…。 と、知的(?)な前振りは置いといて、『蒸発旅日記』。つげ義春 といえば“なるほどポッキン金太郎”、作品は“メメクラゲ”ならぬ “ママ映画化”される偉大な漫画家ですが、あの味わいをどう 映像化するのかは監督各々の手腕。この、『蒸発旅日記』は 特に美しく映像化されているのではないでしょうか? 監督、山田勇男は寺山修司に師事した映像作家。正直あまり 知らない…が、『アンモナイトのささやきを聞いた』を撮った方、と 聞けば納得の人物。というと各シーンの強烈さが売り?と思う 方もいるかもしれませんが(私も見る前はそんな思い込みが)、 各場面での役者さんの使い方、人物の表現が優しく丁寧。中々 感服いたしました。 また本作品の美術は日本映画界を代表する鈴木威夫!1918年 生まれにして今だ現役、鈴木清順の極彩色なケバイ世界に、 名作・大作・佳作から『シベリア超特急2・3』(笑)まで手がけた 人物。本作では特にその手腕が十二分に発揮されています。 寺山直系と木村美術の出会った豪華見世物小屋絵巻、必見です。 と、更に知的(?)な前振りも置いといて、映画の主人公の様に 温泉町でヒマを持て余せば、山・川・地蔵を見た後やる事は 「パチンコとストリップ鑑賞」(笑)。でこの映画に出てくる、 ストリッパーの姐さんの方が道頓堀劇場の清水ひとみ、 妹の方が藤蘭ゑ(現・藤野羽衣子)。実は難しく考えず、この 二人を拝観するだけでも十分映画館で見る価値あり。興味の ある方には、二人のその後のご活躍を見ると…ストリップという 世界を、逞しく渡り歩いた姿に頭が下がります。 ともかくこういった作品はもっと映画館、小屋にかかり「映画」として 見られるべき、評価されるべき、と心底思うんですが。ブラウン管 (最近は液晶、と言うべきか)にあったアートもありますが、映画館に あったアートもあると思います。 あとストリップ鑑賞も劇場、小屋向き。ブラウン管や液晶の似合いは… l もっと露骨なエロ動画でしょ(笑)。 アート度 ★★★★ ストリップ度 ★★★★★ 2003年 ワイズ出版 監督 山田勇男 脚本 北里宇一郎 山田勇男 原作 つげ義春 美術 木村威夫 出演 銀座吟八 秋桜子 清水ひとみ 住吉正博 2008年9月9日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞
(併映 『暗号名 黒猫を追え!』) |