この映画はアイドルグループ、フォーリーブス主演の映画。しかし まだDVD化されていない。固定のファンがいるというのに・・・ 様々な大人の事情か、世にでる機会が少ない作品です。それを 見る事ができて大喜びしております。また今回小谷監督の特集上映 にて見る事ができ、当時のお話も監督より聞かせて頂けましたので、 それを紹介しながら書かせて頂きます。 物語は郷ひろみも在籍する(笑)、孤児院を後にフォーリーブスとなる 4人が巣立って行く場面から始まる。この設定が時代を感じさせる・・・。 こうして社会に出た4人のエピソードが次々映し出され、やがてデビューの きっかけが生まれ、4人はそれに向けて励んでゆく・・・ という姿がギャグを挟んだ各々のエピソードや、お約束の歌をバックに したイメージ映像的な場面で次々映し出される。プロモーションビデオの 無い時代ですから、これで観客は狂喜したのかなぁ・・・しかし断片的に 撮影したものをつないでいるなぁ、との感は否めない。 トークショーで監督が語られていたのですが、この作品の企画は東宝 の歌謡映画の第一人者・田波靖男の企画で、東宝とジャニーズ(ジャック ・プロ)の共同制作映画の一本目であったとの事。またフォーリーブス 主演の映画でありながら、郷ひろみをメインの一人に加えるようジャニーズ 側より依頼があって、本作のようなスタイルの映画になったとの事。 プログラムピクチャーとして作られた本作は、撮影は5~6月の4~5週 程度、それで7月20日公開の強行日程。が、本編を見ると判る通り 様々な場所でロケしている。当時人気絶頂のフォーリーブスの、スケ ジュールの合間をぬって(絶句)・・・監督曰く「ともかく忙しかった」との 言葉が映画からも充分伝わってきます。 という撮影の舞台裏は中々大変だったとの事。断片的と紹介したシーン はそんな状況の中、様々な場所にロケして撮影。コンサートのシーンは 舞台と観客席のエキストラシーンは別撮りだったり、最初は撮影を楽しん でいたフォーリーブスの面々も、撮影スケジュールが押してくると、ある日 コーちゃん(北公次)が代表して 「監督・・・話があるんだけど・・・」 「もっとスムーズにしないと、不満がメンバーから出るから・・・」 と言ってきた、と監督が当時を振り返ってくれました。 プログラムピクチャーの日程で、アイドルのスケジュールの合間での 撮影は無理があったんだなぁ、まして過去の作品と違い、映画会社側 よりタレント側の方が力を持ってくると・・・プログラムピクチャー製作 末期の状況が伝わってくる話です。 しかし同時に、末期とはいえプログラムピクチャーの底力を感じさせる 部分も。断片的に見せられるギャグなシーンに登場する役者さん達 (藤木悠・佐原健二・二瓶正也・大泉滉・塩沢ときetc)の贅沢な使い方 にはそれを実感しました。そしてフォーリーブスの姿・・・4人で浜辺を 海パン姿で走るのはともかく、でっかい貝殻を持って君達は一体 何をやってるんだか・・・のシーンは嬉し恥ずかしの一言(汗)。 さて物語ですが・・・デビューを前にメンバーの一人・コーちゃんは 何と、やむを得ぬしがらみで揉めたヤクザに、ドスで刺されて死亡! ちなみにこのストーリーも、「芸能界の裏面を描きたいとの意図で 作られた脚本であった」と、監督がお話してくれました。またこのシーン でいかにも70年代な、泥絵の具のような赤の血が噴出!尋ねると 「よく(当時)映倫通っちゃったよね・・・(笑)」と語りつつ、当時の他の 映画を意識して作ったとの事でした。 ちなみに本作はタイトルの後にスタッフロールは一切無し。ラストに ロールが流れるまで何も無し・・・というスタイルも、アメリカン・ニュー シネマの影響を受けていたと語ってくれました。やはり映画って奴は 様々な映画の影響を、リアルタイムに受けているんですね。 で、この映画のラスト。メンバーの一人を亡くしたフォーリーブスは、 郷ひろみを代役に立て、1度限りのコンサートを開き解散する・・・えっ、 これがフォーリーブスデビュー前の物語なら、今活躍しているフォー リーブスって一体?こんな状況をお手軽に幽霊で処理する『シックス・ センス』もビックリのラストが用意されている。プログラムピクチャーの アイドル映画と舐めてかかると、凄い変化球を投げ込んできたよ!
しかしこの映画の重要な魅力は、郷ひろみの存在である。なんせ当時 19歳、今のボイスが更に幼いトーンですから・・・また信じられない 短パン姿でうろつき回る姿はあまりにヤバ過ぎ(笑)。個人的には 『黒薔薇の館』の、若き田村正和の姿以上の衝撃でした・・・ そして郷ひろみは本作の後、76年に事務所を移籍し現在に至る・・・ この辺の経緯が、本作を埋もれたモノにしているのかなぁ。ともかく、 鑑賞できる機会があれば逃す手は無い作品である。 70年代映画度 ★★★★ 流血度 ★★ ドンデンなオチ度 ★★ 郷ひろみ激ヤバ度 ★★★★★ 1974年 東宝・ジャックプロ 監督 小谷承靖 脚本 田波靖男 製作 田波靖男・ジャニー喜多川 出演 フォーリーブス(北公次・おりも政夫・江木俊夫・青山孝) 郷ひろみ 日色ともゑ 岡田真澄 2009年5月16日 新宿テアトル特集ANにて鑑賞
(併映 『極底探検船ポーラーボーラ』『愛は嵐の中で』) l |