何が今更『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』だよ・・・と怒られるかもしれない。 この記事は2009年2月に書いていますが、去年の東京国際映画祭参加 作品、その直後公開の作品ですからねぇ。私は先月、シネコンでやっと 見ました。シネコンさんが普段と違う、自分達独自の番組を組んだ時、映画 ファンなら是非応援しよう!普段の流れ作業な上映と異なる、独自色を出し ている番組を頑張って組んでくれましたからね! と、何故私が直ぐ見なかったかと申しますと、傲慢にも「・・・まあ、見なくても いいかなぁ・・・」と思っていたからです。今更メディア批判な内容は陳腐だし、 モキュメンタリー手法(エセドキュメンタリー)のホラーも最近散々作られて いるから・・・それに恐らく手振れ映像の作品だろう、だったら映画見て酔って しまうかも(笑)。ロメロ御大もついに老いたか、何て思っていました。 しかし改めて見まして・・・反省しました!土下座します!どうか 堪忍してください!ピッツバークの映画作家・ロメロ爺さんの熱い思い が伝わってきて、本当にちょっぴり涙ぐんでしまいました。これだから映画は うかつに見逃せない・・・(って見逃しまくりですけどね) この作品に辛い点を付ける方の意見は良く判ります。モキュメンタリーの 冒頭『ダイアリー~』、これは「ドキュメント」でなく「映画」であると断っている。 また毎度映画にメッセージを盛り込むロメロ爺さん。ハイハイ、ネット時代の メディア批判ですね~、ってな映画と思っていました。確かにこのテーマに ついて語っています。が、単純ににそんな物語(+ゴアシーン豊富なホラー) の映画であったでしょうか?でしょうか・・・?しょうか・・・ょうか?・・・ *ロメロと言えば『ゾンビ』。ゾンビと言えば私は「ゴブリンサウンド」と 「惑星イオスの爆発(笑)」なアルジェント版が初体験。それだけにロメロ 版の乾いた暗さを見た時の衝撃は。それを深めりゃ『ザ・クレイジーズ』に。 この作品のリメイクは、後述の理由で出来の如何を問わず支持する! この映画が単純に、「ギャアギャア騒ぎながら、臨場感がある(とされる)状況 で、自ら撮ったリアルに思える映像」を、「すぐさまネットに流す連中が、やがて 皮肉な最期をとげる」話であれば、判りやすいモキュメンタリーホラーの佳作に なっていたかもしれません(但し最近のブームに便乗した作品に)。そういった 映画としては、『ダイアリー~』は見事に失敗しています。 私はこの映画を、「何故か映画作りに拘る、そんな性を持った者」を描いた 映画である、そしてその物語はピッツバークを中心に映画を撮り、メジャーに 背を向けながらも、自らの映画を撮り続けるロメロ爺さんが、そんな自身を踏ま えてなお、「ワシ、これからも映画撮るねん」と宣言した作品と感じました。 まず冒頭が学生らの映画作りのシーン、てのがこの映画のテーマを象徴的に 表しているのでは。『ダイアリー~』の主人公達は「事件に巻き込まれた素人」で はなく、「事件に巻き込まれた(自称)映画人」と設定されます。。成程、この視点 で語るのかぁ、とこのシーンで気付かされました。 この冒頭の「しょうもない」映画作りのシーン、ミイラ男の映画なんですが・・・ これはロメロ爺さんが結局メジャーでは仕事が出来ず、降ろされてしまった 映画『The Mummy』に対する意趣返しか?ちなみにこの企画が後に、ロメロ 爺さんのスタイルの間逆の作品、スティーブン・ソマーズ監督のハリウッド風な *ロメロ爺さんのメジャーでの作品の一つ、『モンキー・シャイン』。職人 ホラー映画監督として生きる道もあったのに・・・そういや『モンキー・ シャイン』、今やハゲの変態名優・スタンリー・トゥッチの若き日が見れる。 そんな映画青年達が、ゾンビな出来事に巻き込まれる訳ですが・・・ ここで質問します。あなたが事件・事故に巻き込まれた場合、本当にギャア ギャア騒ぎながら、手振れな映像を撮影するでしょうか?多少なりとも映画 好きであるあなたは、何とか映画的な映像を作るべく(無駄な)努力をするの ではないでしょうか・・・そうでしょ?でしょ?? これを読むような「映画好き」なあなたは、家族や友人に「ビデオを撮って!」 って頼まれた時、フレームやパンの安定やズームイン・アウトに拘り、少しでも 映画(やテレビドラマ)の映像に近づけるべく、器材も無いのに無駄な努力を 心掛けた経験はありませんか?まあ、そんな努力をして撮った映像も、再生 すると素人丸出で恥ずかしい思いをするんですが・・・(笑) 改めて申します。『ダイアリー~』はゾンビな出来事に巻き込まれた、「自称・ 映画作家=映画青年」達の物語なのです。「自称・報道者」でも、「単なる 一市民」からの視点で描いたのではなく。 映画青年は「この世の終わり」にも映画を撮り続ける、また映画を撮っている からこそ、「この世の終わり」な事態にも向き合える・・・そんなメッセージを 私は『ダイアリー~』から受け取りました。これこそは「映画万歳!フィルム メーカーに栄光あれ!」との、地方発の映画職人=ロメロ爺さん(撮影時 御歳67歳)の、高らかな宣言ではないでしょうか? これは『ダイアリ~』がモキュメンタリーの体裁をとっていない事だけではなく、 主人公(ジェイソン)の行動、例えば劇中で映像を映画として編集する姿に 「ああ、こいつはこんな状況でも、フィルムメーカーとして振舞っていやがる!」 と感じさせられませんでしたか? またメッセージ性を重んじるロメロ爺さん、決して感傷趣味だけで映画を作りま せん。映画を撮るジェイソンが劇中で映画に撮られる、映画の為に他者に語らせ ようとするジェイソンが逆に問い詰められる、その有様は映画を作る者が持つ 「愚かさ」「冷徹さ」「傲慢さ」を自嘲的に表現している、と受け取りました。 結局ジェイソンは「この世の終わり」に、映画作りに拘った事で身を滅ぼして しまいます。しかし!もう一人の主人公である女(デブラ)は、最後にそんな彼 の行動を理解し、遺志を継いでこの映画を完成させた・・・のが『ダイアリー~』 という構成。これを一言で言うと「あいつバカだったけど、映画作りの志だけは 理解してやって、継いでやりましたよ。」これ以上のフイルムメーカーに対する 愛情のこもったエールがあるでしょうか? そんなこんなを感じた私にはこの映画は、ロメロ爺さんが映画作りに拘る自身 を些か自嘲しつつも、「・・・それでもワシ、これからも映画作りに拘るよ!」 と高らかに宣言した映画ではなかったか?と解釈しております。 と、多少思い込みと妄想が入った解釈を披露してしまいました(笑)。無論この 映画をフィルムメーカーの物語でなく、ネット時代のエセ報道者の物語として 見る方が自然でしょう。でもそれにしては、随分「映画」というジャンルに拘って いるのがなんともロメロ爺さんらしい・・・という点は皆様共感頂けるでしょう。 映画の解釈には「誤読」もまた有効、って事で私見をお許し下さい・・・。 *上で「ゴブリンサウンド」について書きましたが、私の世代には「ゴブリン サウンド」さえ流れりゃその映画は傑作!と思える哀しい習性があります。 『エイリアン』の志の低すぎるパチもん、『エイリアンドローム』すら・・・。 しかしこの女優アイライン黒すぎ!シャワーシーンにおいてさえも!(笑) ちょっと偉そうな事を書きましたので、その他気になった点を紹介します。まず 本作にもカメオな方々が出ていますが、撮影事情がそれを許さなった為か、 皆様声のみでの出演。流石に判らんかったわっ!その代わりロメロ爺さんの 劇中での雄姿には、声を出して笑わせて頂きました。 またロメロ爺さん、ゾンビに徐々に知恵を授けてきましたが今回は原点回帰。 シーン!」と、思わせる場面を新たな視点から描いていました。遊び心かな? またはあのシーンを、当時とはあえて異なる視点で描きたかったのかな? 今回『ダイアリー~』での「アパート突入」や「吊るしゾンビ虐殺(?)」のシーン などを見て、皆様はどう思われましたか? そして今回はゾンビの特殊効果にトム・サビーニな、「血沸き肉踊り糸を引く」 特殊メイクではなくCGを使用。このCGの使用が凡作に有りがちな「やたら ゾンビのゴア表現を、本作ではCGで挑戦!」といった意図が見えて面白く 感じました。死人がゾンビになる瞬間や、酸(?)を掛けられたゾンビの変化 など、地味ながら「ああ、こういう見せ方にしたんだ」なCGの使用は、実に 興味深い・・・ロメロ爺さん、老いても新機軸にチャレンジしているね! そして・・・劇中に出ていた地名について。 ①ピッツバーク NY出身のロメロ爺さんは、ピッツバークの大学に進み本格的に映画の道に。 劇中の映画を作る面々が「ピッツバーク大の学生」・・・という設定は、明らか に彼らに自らの姿を重ねているんでしょう。 ②テキサス 映画のラスト付近で、テキサス娘のトレーシーはとうとうブチキレて、突然 テキサス訛りになり連中から決別!テキサス人=「そ~ゆ~キャラ」という 偏見、というよりそんな人柄に憧れる傾向が米にはあるらしい。ブッシュ元 大統領は、そんなキャラを演じて支持を集めたそうな(一応只のバカでは ない)。オリバー・ストーンの新作『W』はそんな姿を描いているのかな? ところでこのシーンにコミカルな音楽が付けられているが・・・『ダイアリー~』 ってジェイソンが残した映像を、デブラが「編集し、効果的な音楽などをつけ 映画として完成させた」という設定だろ・・・デブラさん、ウケ狙いすぎ(笑)。 ③そして・・・スクラントン! そんなジェイソンの死を乗り越えて、どうにもお茶目なデブラさんの出身地は スクラントン。スクラントン?そう、スティーブ・カレル主演の米で大人気の コメディドラマ『the office』(US版)の、オフィスのある場所じゃないか! http://www.nbc.com/The_Office/video/clips/the-office-new-credits/985001/ *と、ここで『the office』(US版)のオープニングの、スクラントンを 紹介した動画を貼りたいが・・・NBCのガードが固くすぐ削除される模様 ですので、上で公式HPの動画を紹介しておきます。ここの動画も頻繁に 変更しているようですので、公式HPトップも紹介しておきます。 ↓ http://www.nbc.com/The_Office/ スクラントンとはNY郊外の、やや寂れた・・・がそれが返って工場や倉庫など が進出するのに便利な、適度に田舎で適度に産業都市な街。だからこそ 『the office』の舞台にもなった場所です。日本で例えるなら・・・首都圏に近い 茨城か埼玉の奥地か(失礼)?そんな彼女の背景を考えると・・・常に社会派、 ロメロ爺さんらしいキャラ設定が見て取れます。 最後に。ロメロ映画がリメイクされ、そんな作品の出来がどうあれ、ロメロ爺さん リメイク版の『デイ・オブ・ザ・デッド』のコメントを求められたロメロ爺さん・・・ 「う~んゴメン、ワシ見てへんから」。正直な人である(笑)。 でも何でもリメイクしてやってくれ!爺さんの次回作に、改めて期待しております。 ちなみに次回作、タイトルが『●●● of the dead』になる事は決定らしい(笑)。 ロメロ爺さん、私はアンタに付いて行くぜ。この身がゾンビになってもな! |