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カルト映画・B級映画…『歪な』面白映画紹介
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低予算を逆手にとった世界大戦、
『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』

私のような世代の人間は「絶対に人類は1999年に、多分核戦争で

滅亡する!」と信じていた時期があったはず(断言!)。おかげで将来に

向けて勉強をしない口実が出来て、ボンクラな大人になりました・・・

 

しかし東西冷戦期核戦争は身近な存在であり、被爆国の映画のネタ

としては、度々登場するテーマでもありました。2009年正月の邦画は

何故かディザスタームービーが豊作。それを記念して(?)第三次大戦

の映画を紹介します。

 

紹介を避けます。単にヒネクレているから(笑)。そのパクリの企画じゃ

ねぇか、と訴訟騒ぎにもなった『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』

の方を紹介させて頂きます。

 

本作は大本命、『世界大戦争』(1961年)より早く・安く・先に公開!

目標に製作、見事本命の前年に公開できた作品(笑)。実に志は低いが、

商売としてはアッパレと讃えたい。が、実際鑑賞すると内容も、低予算を

逆手にとったアプローチが面白い作品でした。

 

物語はまず馬鹿な高校生達が色々あってヨットで船出、「どうせ核戦争で

死ぬなら、放射能が来ないアフリカにでも行くか」・・・が当然遭難。それを

新聞記者の梅宮辰夫が取材して・・・が導入部。こうして日本の極普通の

人々と、世界大戦という問題にジャーナリストとして理想的(ごもっともだが

実に無力)ではあるが、実ありがちな戦後型マスコミ人として描かれる。

 

そんな日本の人々に、朝鮮半島で核装備の軍用機が撃墜され、あれよ

あれよと米ソ関係が緊迫する(『世界大戦争』も半島での戦術核使用が

破滅への引き金と描かれた)。日本はパニック状態となり、先に描かれた

普通の人々の生活も崩れてゆく。

 

予算が無いだけに、世界情勢については報道などの形で最低限の描写に

留め、一般の人々の生活が開戦前に壊れてしまう姿は結構怖い。やがて

人々は避難(何所へ?)を開始するが、パニックの中、先に描かれた家族が

他の家族の一員を車で轢き殺すなど、実にイヤな展開で破壊された日常

描き出している。

 

が、逃げ惑う人々も理想家の梅宮辰夫も、核戦争にはあまりにも無力

都市を避け地方を目指す避難民の列(・・・疎開という言葉が生きていた

時代なんだなぁ)に、無情にも核の閃光が襲いかかる・・・。この戦争で

全人類のうち(当時の28億人中の)20億人が死亡、この戦争に勝敗は無く、

人類自身が敗北したのだ、今後の新世界では第四次世界大戦は、絶対に

起こさない・・・とアルゼンチンの放送局が宣言して終わる。

南半球が助かる、てのはこのジャンルのお約束。実際はどうか知りたくない。

 

チェックポイントとして特撮シーンには、空を飛ぶF104戦闘機と、肝心の

核戦争で破壊される東京(東京タワー、国会議事堂)、モスクワ、何故か

サンフランシスコ。当時の日本人には、アメリカといえば西海岸の港町、

サンフランシスコというイメージなのか?分量は少ないが東映特撮の仕事

の歴史としては貴重な作品。

 

まあ低予算故に核で死んだ人々がキレイ(エキストラが倒れるだけ)、梅宮

辰夫が残留放射能に強い(郊外から、被爆した街に三田佳子を探して戻る)、

流石の辰アニぃにも放射能相手ではこりゃ無理、とツッコミ処も満載(笑)。

しかし金の無い部分を、人々に身近な状況をシュミレートして見せた手法は

お見事。単に『世界大戦争』のパクリ、と思い込んでいた自分を反省しました。

 

ところでここで年表を。

1960年  『~四十一時間の恐怖』

1961年  『世界大戦争』

これ以前にも「放射能で珍騒動」な映画は山ほどあります。が、ストレートに

核戦争を描いた映画は以外に少ない(『ラ・ジュテ』は正直ストレートな核戦争

もの・・・と言い難い)。『原子怪獣と裸女』(1956年)・・・違うよね(笑)。

 

この年表に『ゴジラ』(1954年)、『生きものの記録』(1955年)を加えると、実に

日本が核戦争映画に拘っていたのかを実感できます。このジャンルの傑作、

『未知への飛行』『博士の異常な愛情』は、共にキューバ危機の後に生まれた

作品と思うと、この意識の差は歴然。

 

ともっともらしく書きましたが、この映画の監督、日高繁明って・・・東宝で

『透明人間』『ゴジラの逆襲』の脚本に参加後監督デビュー、しかし東映に

移籍後、特撮関連で自分のフィールドの作品とはいえ、元の会社に喧嘩を

売った作品を手がけて大丈夫だったのか、と核戦争以上の恐怖を覚えた・・・

 

歴史的価値度 ★★★
「はだしのゲン」な描写度 ★
東映特撮度 ★★
梅宮辰夫耐放射能度 ★★★★★

 

1960年 第二東映

 

監督 日高繁明 原案 週刊新潮編集部 脚本 甲斐久尊  企画 秋田亨

 

特殊効果 矢島信夫 成田亨

 

出演 梅宮辰夫 三田佳子 藤島範文 加藤嘉  
 

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