『コードネーム ブラックキャットを追え!』と読んで下さいね (タイトルにルビがふってありました)。本作はシネマヴェーラ 渋谷の企画番組『妄執、異形の人々Ⅲ』の目玉番組でした! この映画は東西冷戦末期に、「日本にスパイ防止法を作ろう!」 のキャンペーンの為に作られたが、あの当時なら当然の如く 各方面から叩かれ、映画館では公開出来ず趣旨賛同者向けの ホール上映のみに終わった、幻の作品である。どんな映画だ? 政治は置いといて一映画ファンとしては意地でも見ねば… 冒頭、井上梅次作詞による熱い(笑)主題歌で始まります。そして 主要登場人物4人(柴俊夫、榎木孝明、国広富之、高岡健二)が 紹介されるや否や、彼らがどんな役回りであるか一発で読めて しまいます(笑)。日本に暗躍する「B連邦」と「北方共和国」と 称される国(どこの国!?)のスパイの暗躍を追う側と、様々な 事情でスパイとなる側のドラマを交えて展開します。 他にも本郷巧次郎、久保明、森次晃嗣に荒木しげる、三ツ木清隆と 妙に特撮臭が強いキャスト。また妙に人情に絡むエピソードが多い ので「特捜最前線」臭というべきか。戸籍を偽って日本に潜入した 「北方共和国」のスパイ(伊吹剛)と日本での家族の別れ、脱ぎ要員 (シャワーシーン、ベットシーン有り)でもある「B連邦」女スパイが 接近した男との悲恋…こいつらは「子連れ狼」の柳生の草かっ!と つっこみを入れたくなる湿っぽさでした。 以上のようにプロパカンダ映画ですがしっかりエンタメしてます。 露骨に「スパイ防止法作らないかん!」と演説したり、昔免許更新の 時に見せられる交通安全教育映画(というより事故は怖いぞ映画) みたいな「こんな事したら地獄に堕ちるぞ!」な演出はありません。 そういったキワモノ感を期待すると裏切られます。スタンダード画面と あいまって、そこそこ楽しめる2時間ドラマっぽい仕上がり。トンデモな シーンの収穫は今一つでしたが、飽きる事はありませんでした。 映画は実際のスパイ事件を元にしたエピソード(不審船も出てきます) を紹介しつつ、スパイを取り締まる法律がない事の苦さを伝えながら、 冒頭と同じ熱い主題歌(笑)をもって終了いたします。さてこの映画は 製作当時、この映画の趣旨に反対する様々な団体等の圧力で (「B連邦」と「北方共和国」の影響か?)公開中止となりましたが、 今となっては、この映画より更に洒落にならない事実が周知のものに なった訳ですから…このプロパガンダ映画の方が現実よりヌルイ描写 とは、皮肉なものです。 ではこの映画は「政治的に正しい」のか?実はこの映画の製作には 国際勝共連合、統一教会系の反共政治団体が関わっております。 井上梅次はこの2年前に『絶唱母を呼ぶ歌 鳥を翼をかして』という、 北朝…じゃなかった「北方共和国」?に渡った日本人妻問題をテーマに した映画も作っています(ちなみにこの映画の助監督は『暗号名~』の 共同監督、岩清水昌宏。何者?)。改めて大変だよ、冷戦末期。 井上梅次とその妻、月丘夢路は統一教会となんやかや…という話も あります。現在多くの会社を渡り歩き(ショウ・ブラザース含む)、数々の 傑作(私は『嵐を呼ぶ男』よりTVの『天知茂の明智小五郎シリーズ』を 推す!)を残した職人監督、井上梅次の最後の映画はこの作品という 事になっています。仮に宗教だか思想だがに、はまったとしても(まあ、 信教は自由ですから)職人演出は健在であったと確認できました。 ちなみに私は特定の宗教、主義思想には興味はありません。しかし 宗教が珍なる映画に、多大の貢献をしてきた歴史的事実には心より 感謝しております。統一教会といえば82年にはテレンス・ヤング監督、 ローレンス・オリビエに世界のミフネ他オールスターキャストで送る、 ラジー賞総なめ映画『仁川(インチョン)』も作っています。この頃の 統一教会は映画作りがマイブームだったのか?エド・ウッドも宗教の おかげで映画作れたし、幸福の科学は東映を支えてくれたし…誰か 私に大スクリーンで『人間革命』を見せてください!! そんな私に信教を聞く?じゃあ「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」 信者って事にしといて下さい(笑)。 セクシーサービス度 ★ 特撮関連役者度 ★★★ 珍品度 ★★★★★ 1987年 プロダクションU 監督 井上梅次 岩清水昌宏 脚本 河田徹(井上梅次) 出演 柴俊夫 榎木孝明 国広富之 高岡健二 山村聡 2008年9月9日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞(併映 『蒸発旅日記』) l
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