前年の『ポルノ時代劇 忘八武士道』と比較すると、どうしても 影が薄い感のある本作品。なんせ前作は石井輝男と丹波哲郎 という最強タッグだったしなぁ。本作もビデオは出ているがDVD はまだ無いはず。CSでは放送したのだろうか? という事で前作を見た者としての、義務感(何の義務?)で見た ような次第だったのですが…いや~、見ておいて本当に良かった! 今回の主演は伊吹吾郎=役名・九死一生ですが、冒頭いきなり オランダ商人一行を襲撃、屍の山を築いて金髪女を拉致、この件の 依頼人を殺害後、金髪女を犯すが,「断末魔の締まり具合」を味わう べくアレの最中に殺害。逃亡に厭きると役人に捕まり、斬首刑の 際には「目が見えないようじゃぁ、三途の川は渡れねぇ」と目隠し 拒否。もう無茶苦茶な暴走キャラです。 が、この死ぬべき男を一万五千両(!)で買い取ったのが忘八者の 元締・天津敏。知らない人の為に忘八とは、孝・悌・忠・信・礼・義・ 廉・恥の八つを忘れた無法者、歴史的に正しくは「遊廓の楼主」や 「遊廓通いをする者」を差す言葉だが、素晴らしき小池一雄史観に よってパワーアップされています(笑)。 ともかくそんな忘八の仲間になった伊吹吾郎、菅貫太郎の開発した 名器作りの奥義「アソコ呼吸(笑)」(そんなモン無理無理、詳しく 書くのは憚られるので、是非ご覧あれ)やら、かの『徳川いれずみ師 責め地獄』以来の「空中股裂きの刑」を見物するわ、刀匠の汐路章が 妻娘の生血で鍛えた「血吸いの剣」(『九十九本目の生娘』かっ!)を プレゼントされるわ、もう悪趣味と殺伐の極み…(一応ホメ言葉)。 その後伊吹吾郎は知り合った女忘八、池玲子(コレが実に魅力的な お似合いキャラ!)を強引にモノにするが、流石の池玲子も、好んで キ○ガイ女を抱く伊吹吾郎の荒んだ性生活にはア然。そんな茶飯事を 繰り返している内に、忘八と吉原の抗争が拡大。そこで単身吉原に 乗り込む伊吹吾郎、吉原総名主を殺害、吉原黒助組首領・沼田曜一 以下多数を切り捨てるが、流石にこりゃピンチ!となったとき、颯爽と 助けに現れるのは池玲子。 ところがこの一件には天津敏と菅貫太郎の計略があり、事件後邪魔者 となった伊吹吾郎は消されようとする、がまだまだ死なない。また実は 菅貫太郎には幕府と結託し「風営法改正」(ちょっと表現は違う…)を 行い、天津敏ら忘八者らを潰す計略を持っていたのである。伊吹吾郎と 忘八ら、押しかける役人達が三つ巴で斬り合い、忘八者が壊滅すると 役人に追い詰められた伊吹吾郎と池玲子は、ボニー&クライド状態。 ともかくトンデモ描写のてんこもり、一体何人死んだの!の大立ち回りで 殺伐とした映画が好きな方には必見。確かに伊吹吾郎は丹波哲郎 (丹波先生は原作劇画のファンでもあったらしい)と比較すると酷だが、 丹波哲郎がどこか超然としストイックな「忘八武士道」なら、伊吹吾郎は 力技と世を拗ね自滅を望む、所謂無敵の人な「忘八武士道」で見せる。 これはこれでアリと思う。 但しこの映画、実は血糊ドバドバッ!だが、チョンパ描写はほぼ皆無。 「股裂きの刑」も画面上では見せないし、『ポルノ時代劇 忘八武士道』の 手が飛ぶ首が飛ぶファンタスティクな描写もない。お話は荒んでいるが、 描写方面には過剰な期待をしないように。 また池玲子の役に立たない付き人、川谷拓三は「春琴抄」な設定のイイ役。 また前文でキ○ガイ女と書いたが、この城恵美の演じる役も切ない設定で あり、池玲子と共に悪趣味の中にもグッとくるものが有ります。 いや~、拾い物と思いました!この伊吹吾郎と監督・原田隆司、そして 原作・小池一夫トリオには、翌年『下苅り半次郎 (秘)観音を探せ』(…笑) という作品もありますから、これも是非見たくなってしまった!! それにしてもこの作品を見たら、もはや「水戸黄門」の格さんを、正義の人と して見る事は出来ません(笑)。いや格さんが伊吹吾郎になったと同時に、 黄門様は元・ニセ黄門の西村晃に変わったから、実はその時の「水戸黄門」 l って…ティム・バートンかクリストファー・ノーランの『バットマン』と同じ様な 作品だったのか?(…んな訳ない)。 エロ度 ★★ スプラッター度 ★★★ 役者拾い物シーン度 ★★★★ 殺伐の極み度 ★★★★★ 1974年 東映 監督 原田隆司 脚本 中島貞夫・金子武郎 原作 小池一雄・藤生豪 出演 伊吹吾郎 池玲子 天津敏 汐路章 川谷拓三 菅貫太郎 沼田曜一 2008年9月18日 シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞(併映 『武士道残酷物語』
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