ランキン=バス プロダクションの手がけた作品ついて、色々と紹介して まいりました。浅草東宝での出会った時には、日本との合作作品は怪獣 映画しか知らなかった私が、不勉強ながら前回は人形アニメ作品も紹介 してまいりました。しかし何故怪獣映画、小谷監督作品以外についても 紹介しようと思いたったのか、と申しますと…。 アニメーション作品を知ったのです。私事ながら、自分の嫁には何人か アメリカの友人がいるのですが、『The Last Unicorn』の話題になった時、 「あぁ、あの作品!」「子供の頃何回も見た!」「今でもよく覚えている映画!」 といった返事が返ってきたのです。ええっ、そんな作品があるんですか?私、 何も知らないのですが…この湧き出た疑問こそが、実写以外のR&B作品 にも興味を抱くきっかけとなりました。そしてその結果欧米の方々には実写 作品よりアニメーション(人形・セル画共に)作品の方が広く親しまれている 事実に気付かされたのでした。 さて東宝とR&Bの合作『キングコングの逆襲』を紹介した際に、東映動画が 手がけたアニメ『キングコング』を紹介しました。R&Bは人形アニメ、実写映画 同様アニメーションにおいても、日本の製作陣と共に作品を作っていこうと 動いています。R&Bの関連会社、ビデオクラフト・インターナショナルと東映 動画はこうして共同制作の関係を築いて行きました。 1972年、この共同制作において東映動画側で製作の仕事をしていた原徹氏は、 日米のアニメ合作を目的とした新しい会社、トップクラフトを設立する。合作の パートナーは無論R&Bで、当初ほぼ1年に1本ペースで作品を制作している。 またR&B以外にも、ハンナ・バーバラ・プロダクションの作品を請け負ったり、 アニメを製作するなどの仕事があります。また合作に限らず日本国内向けの アニメーション作品も製作しております。 ここでR&Bとトップクラフトの共同製作作品をいくつか紹介させて頂きます。
『Kid Power』1972年 新聞の4コマ漫画が原作のアニメ。子供たちが活躍するありがちな話だが、 登場する子供達の人種が実に多様。原作の連載当時は公民権運動の真っ盛り、 中々意義のある設定であったようです。 『Twas the Night Before Christmas 』1974年 『The First Easter Rabbit』1976年 タイトルからお判りの通りクリスマス、イースターシーズン向けの作品。こういった 季節モノのアニメ作品を、人形アニメ作品同様数多く製作しています。絵本の様な、 いかにも児童向けなタッチのTV向けアニメ作品です。 『The Hobbit』1977年 『The Return of the King』1980年 原作はJ・R・R・トールキン。そう、この作品言わずと知れたあの『ホビットの冒険』 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』のTV向け単発作品。R&Bはアニメにおいて ファンタジー作品も数多く手がけているのです。なおこの2作は連続したお話として 製作されており(つまり『旅の仲間』と『二つの塔』はナレーションでスルー)、この 2作でガンダルフの声を演じるはジョン・ヒューストンでした。 そしていよいよ登場するのが1982年の劇場用アニメ映画『The Last Unicorn』です。 『The Last Unicorn』1982年 この『The Last Unicorn』が、何故アメリカの大人たち(30代位?を中心に)の心に
刻みこまれているのか?一部ですが作品を見て納得しました。絵・そしてその動き・ 音楽と、その全てに圧倒されました。R&Bとトップクラフトの合作の初の劇場用 作品でもあり、そうとう力を入れて製作したと思われる作品。監督としてはアーサー・ ランキン・Jrとジュール・バス両氏がクレジットされていますが、アニメーション演出 は山田勝久氏が担当。 ★25周年記念版DVDの、『The Last Unicorn』予告編 まず動画ですが、人物は欧米受けする言うなれば「バタ臭い」タッチのキャラですが、 主人公のユニコーンなどは日本のアニメ的な柔らかいタッチ。そして何といっても動画が 滑らかに動く事!私はその動きを見た時に、真っ先に東映動画のアニメ映画作品を 思い浮かべました。動画枚数の多さが生む、テレビアニメ(枚数の少ない動き)に慣れた 目には少々違和感を覚えさせる繊細な動きに。 また動画の滑らかな動きには、実際の役者の動きや城の模型を作って作画の参考に したというスタッフの努力の他に、日米の合作作業ならではの要因もありました。台本 では英語で語る時の口の動きや、セリフの長さが掴みにくい日本側のスタッフの為に、 また監督であるアーサー・ランキン・Jrとジュール・バスの演出意図を映像化してもらう 必要性から、事前にR&Bでサウンドトラック(セリフ・音楽・効果音が既に完成している)を製作してそれ日本側に渡し、それに合わせて作画を行うという作業となりました。 このようなアニメーションの製作手法を「プレスコ方式」と呼びます。 リアルな動きを追求するアニメーション作品や、映像が加工し易いCGアニメにおいて 先に声優のセリフを録り、それに合わせて作画する手法がありますが、『The Last Unicorn』における「プレスコ方式」の製作では、セリフ以外の音の要素も先に提供され た状態で作画するという徹底ぶり。実際動画で登場人物の動きを見ると実感して頂け るのではないかと思います。実に手間のかかる制作方法が、このクオリティの高い 作品を生んだのですが、同時に日本側のスタッフの苦労が偲ばれます。 音楽はジミー・ウェッブが担当。この方もある世代の方には、懐かしい名前のシンガー ソングライターではないでしょうか。彼の手がけた楽曲は今も多くの映画・TVドラマに挿入 されており、気付かず耳にしている事もあるでしょう。オープニングタイトル(またこの場面 の動画が、中世のタペストリーの様な絵になる構成が印象的)で流れるテーマ曲、 映画と同じタイトルの「The Last Unicorn」(歌うのはアメリカ)が特に印象的。なお オープニングロールと共にその作品の主題曲が流れるのは(ありがちなパターンでは ありますが)、R&Bの作品の一つの特徴。『極底探検船ポーラボーラ』や『バミューダ の謎』と同様に、タイトルと共に流れる映画のテーマずばりの主題曲が、強く印象に 残ります。アーサー・ランキン・Jrのパートナー、音楽担当であるジュール・バスの拘り? ★『The Last Unicorn』のオープニングタイトル部。本編の動画も 存在するようですので、興味のある方はご参考に。 このでは映画のストーリーについては触れませんが、本作の原作及び脚本はピーター・ S・ビーグルの手によるものです。原作は1968年に書かれた小説で、日本では1979年 S・ビーグルはモダン・ファンタジー作品を多く手がける作家で、2006年に作品『最後の ユニコーン』の後日談となる作品、『Two Hearts』を発表、この作品でヒューゴー賞・ ネビュラ賞を授賞しています。 この作品の声の出演はアラン・アーキン、ジェフ・ブリッジスそしてクリストファー・リー、 そしてユニコーン(人間にもなる)の声はミア・ファロー。個人的に知り合いのアメリカの 方のお話で、「この女優さん見た事無いけど、優しい声に覚があるなぁ…あぁ!『The Last Unicorn』の声の人だ!」と、ミア・ファローを知るきっかけが『ローズマリーの 赤ちゃん』でもウッディ・アレンの作品でもなく、『The Last Unicorn』だったと聞いて ビックリ。世代的にこれからそんな方が増えていくのかも? 以上のように『The Last Unicorn』は製作された当時、家庭で親が子供に安心して 見せられる映画であり、同時にそれを見た子供達の心に残る作品であったようです。 今子供の頃鑑賞した世代が懐かしく思い出し、また自らが親となって是非子供に 見せたい作品として、欧米で(欧州にも同様のファンが多い)広く愛される作品として 存在しているのでした。私だったら…やっぱり怪獣映画かな?日本では最近の若い方 にとってのスタジオジブリ作品?に当る存在でしょうか。 (続く) |