前回まで怪獣映画好きの視点で、アーサー・ランキン・Jr氏とランキン=バス プロダクションの作品について紹介させて頂きましたが、彼らの仕事を語るには これでは全く不足している事実に気付いてしまったのです!熱心なアニメファン の方や、そして本国アメリカの方から見ればお叱りを受けるような、重要な作品 に全く触れていない事実に。ここからはランキン=バス プロダクションの作品が、 今まで紹介した実写作品とは異なる分野で、アメリカの方々に非常に愛されて いるという事実を紹介してまいります。 さて、R&Bの手がけた最初の作品は1960年から始まったTV用の人形アニメ 番組、『The New Adventures of Pinocchio』。この作品の製作・監督・脚本と してアーサー・ランキン・Jr氏と、共同経営者のジュール・バス氏がクレジット されています。二人とも作品に直接関わるタイプのプロデューサーをですが、 役割分担としてはストーリーに関わる事が多いのがアーサー・ランキン・Jr、 音楽に関わるのがジュール・バスという事が基本であったと語られていました。 R&Bはこのような作品をクリスマスなどシーズン物としてTV局に提供、また こういった作品に出演する声優のプロダクションでもありました。 この作品の製作の下請けであったのが日本の人形アニメのパイオニアである、 持永只仁氏がの設立したMOMプロダクション。1956年氏は「ちびくろさんぼの とらたいじ」でバンクーバー国際映画祭児童映画部門最高賞を受賞しているが、 この作品のクオリティの高さに注目したR&Bが製作を依頼したのである。この 持永氏はセル画アニメから出発、満州映画協会に入社し終戦後も中国に留まり、 中国にアニメ技術を伝えた人物。人形アニメの分野でも活躍し、その弟子に当る 方々は現在も人形アニメの第一人者として活躍しており、日本のアニメ創成期の 知られざる偉人というべき人物であります。 さてこうしてR&Bは日本のスタッフと共に、数多くの人形アニメ作品を生み出して 行きます。以下にその代表的な作品を幾つか紹介させて頂きます。 ★このトナカイ=「ルドルフ」に見覚えある方も多いのでは? アメリカでは国民的人気のある人形アニメ作品で、R&Bの人形アニメ作品の
代表的存在。クリスマスシーズンには毎年のように放送された番組。現在もこの キャラクターはアメリカでは人気があり、日本でも過去にNHKで放送された事も ありますので、キャラクターを見れば「ああ、あれですか!」と気付かれる方もいる のではないでしょうか?。現在この作品はDVDも販売されています。監督には 持永氏の元で活躍した、長島喜三氏がクレジットされています。この作品の様な シーズン向け(クリスマス・ハロウィン等)番組を制作するのがR&Bの特徴です。 ちなみに本作は映画評論家の町山智浩氏も、アメリカ人がクリスマスに見る 定番の作品として、『町山智浩のアメリカ映画特電』で紹介されていました。但し これを見た氏の娘さんが、流石に劣化した画面に気付いてツッこんでいた…との コメントもありました。まあ、歴史のある作品という事ですな(笑)。 『アンデルセン物語(The Daydreamer )』1966年 アンデルセンの少年時代を、実写と人形アニメのコラボで描いた作品。R&Bの
特徴としてセルアニメ、人形アニメ、実写など特定分野に拘らず製作する、という 特徴がありますが、それが良く現れた作品の一つと言えるのではないでしょうか? 人形の声はシリル・リチャード、ヘイリー・ミルズ、パティ・デューク、ボリス・カーロフ、 そして早川雪州。実はこの作品が早川雪州の遺作にあたるのです。 『マッド・モンスター・パーティー(Mad Monster Party)』1969年 ★こういったジャンルに惹かれるファンが多いのか、YouTubeに他の画像も
アップされています。声を聞いているだけでも楽しい! タイトルだけで私は惹かれてしまいます…フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男と いったモンスター総出演、しかも声の出演にはまたボリス・カーロフが!アーサー・ ランキン・Jrという方は、どうやらこの分野がお好きな様だ…。元々映画だったが、 ハロウィンシーズンに米では繰り返しテレビ放送されたようだ。 『サンタが街にやってきた(Santa Claus Is Comin' to Town )』1970年 ★フレッド・アステア風な人形がお判り頂けるでしょうか? またしてもクリスマス物ですが、声の出演がフレッド・アステア!人形もそれっぽく
作ってあります。なおMOMプロダクションは持永氏の退社後、ビデオ東京として 再編され、本作はそのスタッフの手による作品です。
ピーター・コットンテールって誰?イースター(復活祭)のウサギであり、やはりシーズン 向けの作品です。声の出演に『スクービー・ドゥー』の声優ケイシー・ケイセム、そして ダニー・ケイにビンセント・プライス! と、代表的な作品を幾つか紹介しましたが、80年代までR&Bによる人形アニメ作品は 製作されて行きます。このR&Bの人形アニメ作品は「アニマジック」とも呼ばれ、多くが 今だ愛されるキャラクターとして存在しています。また初期作品の初放送時には日本人 スタッフはクレジットされていなかった模様ですが、新たに発売されたDVDにおいては 紹介されている模様です。 日本では今一つ、話題とならなかった人形アニメの分野ですが、その日本人製作 スタッフが、米で今だ愛され続けている作品を手がけていたと知り驚きました。また R&Bの日本での製作活動は、実写作品より人形アニメの方が先だったとは…。 大変勉強になりました。ともかくランキン=バス プロダクションと聞いて、アメリカの 方が最初に思い浮かべるのは『極底探検船ポーラボーラ』でも『キングコングの逆襲』 でもなく、これら人形アニメ作品だそうです。 ~追記~ これらの作品の一部は、現在日本ではMUKUという人形アニメーション専門
のレーベルから発売されています。興味を持たれた方は是非そちらをご覧下さい。 ↓ http://www.mu-ku.jp/index.asp (続く) |